PLG(プロダクトレッドグロース)を解説!事例とメリット、取り組み方などを紹介

プロダクトレッドグロース(Product-Led GrowthまたはPLG)に関して情報を集めているあなたは、今、次のように考え込んではいないでしょうか?
・そもそもPLGとは何?
・PLGの実施には、どんな考え方や手法がある?
SaaSの普及拡大が進む今、それにまつわるCSの手法も多く、PLGもそのうちのひとつです。
この記事では、
・PLGの必要性
・PLG実施で得られるもの
・PLG実施の例
といったことをご紹介します。
「自信のあるプロダクトなのになかなか売上があがらない」「適切にクロスセル/アップセルの提案ができない」といった悩みを解消するため、ほんの少し時間を割いて最後までお付き合いください。 きっとためになるヒントを見つけていただけます。
|Product-Led Growthとは?
今後SaaSと切っても切れない関係となるProduct-Led Growthですが、「なぜ重要なのか」をきちんと知っておくと、取り組む意義を見出しやすくなります。 まずは、Product-Led Growthの概念や事例に触れてみてください。
Product-Led Growthの「意味」
Product-Led Growth(略してPLG)とは、端的にいうなら「マーケティングや営業の活動をプロダクト内に取り込むことで事業を拡大させる事業モデル」です。
マーケティング業務や営業活動、サポート業務といった、広義な意味での「営業のテリトリーに属する仕事」をプロダクトの一部としてしまえば、サービスを活用しサービスのファンであるユーザーに対し、少ない時間・コストで効率的に事業拡大を目指すことが可能となります。
SaaSプロダクトの中に、「営業活動」「マーケティング」が含まれているなら、ユーザーは自分自身で契約の追加や拡大ができるようになり、人手を割かず売上を増加させられるのです。
Product-Led Growthを直訳すると「製品主導の成長」で、まさしくプロダクト内の仕組みによって事業を成長させることを目的とした施策とわかります。
PLG事例「Zoom」
PLGの代表的な事例として挙げられるのは、Zoomです。 オンラインミーティングが多く行われるようになった今、Zoomは今や、「ビジネスシーン/プライベートシーン問わず使ったことがある」という方も多いのではないでしょうか。 Zoomは、PLGの一環として次のような工夫を仕込んできました。
・ミーティングに招待する相手にリンクを送り、登録してもらうことで、ユーザー数を増やす
・無料版と有料版を、利用時間で区切る(利用時間を増やしたければプロダクト内で有料版に切り替え可能)
Zoomのローンチ当時、高画質+最大15人接続できるオンライン会議サービスは他にありませんでした。 このため、同社には「一度ユーザーを獲得できれば、顧客が顧客を呼んでくる」という自信があったといいます。 まさしく、PLGのお手本といえるでしょう。
|PLGのメリット
上でも少し触れたとおり、PLGは「可能な限り人手や費用をかけずに最適な提案をし、事業拡大につなげる」ことを目的としています。 ソフトやシステムの利用形式がSaaSではなく、自社内サーバーへのオンプレミス、もしくはビジネス利用のパソコンにインストールする形が主だった頃、営業活動は営業部門が一手に担っていました。
契約を取る、新しい製品を紹介する、もっといい活用方法を提案する…これらを取引先(企業)ごとに行わなければならず、膨大な時間や費用がかかっていたのです。 ただ、今やサービス提供の形態はSaaSが主流となりました。
サービス内容のコントロールはベンダー自らでできるようになりましたので、可能なら「有料プランへの移行を促す」「ユーザーの利用状況に適した提案」「解約を察知したら便利な機能の使い方を提案する」といった機能をプロダクトに組み込みたいところですね。
サービスの裏側、ユーザーの見えないところで各種データを取り上げて分析し、「顧客ごとに必要なことを提案する」ことは、コストを抑えつつ事業拡大につなげるための大切な施策です。 それこそが、PLGが目指すものです。
|PLGに必要な4つの視点
実際にPLGという手法を使ってビジネスを拡大するためには、次の4つの視点から計画を立てます。
・プロダクトの価値:ユーザーの課題を最大限解決するものにする/契約してもいいと思えるものにする
・プロダクト内でのマーケティング活動:顧客と顧客の先にいるユーザーも対象にする
・サービスの値付け:有料プランに切り替えるときのしきいを低くする/アップセル・クロスセルに適したプランを用意する
・カスタマーサクセス概念の導入:FAQなどプロダクト内に自力で問題解決できるサービスを準備する/必要に応じてCS部門に気軽にアクセスできる手段を用意する
先に触れたとおり、PLGは、基本的に営業・サポート(CS含む)までをプロダクトに含めることで、効率よく顧客を増やし、事業を拡大させることです。 PLGの目的を考えると、上の4つの視点はどれも欠かせないものです。
|PLGに適したサービス
では、PLGにマッチするサービスにはどのようなものがあるのでしょうか。 具体的には、サービス(プロダクト)に次のような特徴がある/持たせるなら、それはPLGと相性がいい、といえます。
→ ユーザー自身の手でいつでも、自由に契約/解約ができる仕組みがある
→ ユーザーの利用方法にマッチさせるためのオプションの用意がある
→ 使い方に困ったときのために、FAQやアドバイス内容のポップアップ、メール、SMS機能がある
→ 現ユーザーが他の人に利用を促す仕組みを持っている(ユーザーのネットワーク化)
→ サービスのバックで各種データを計測でき、ユーザーの動きを把握することで
プロダクトのブラッシュアップにつなげられる
|PLGを実現するのに不可欠な4つの取り組み
PLGの仕組みを導入し、成果を上げるには、以下の4つの取り組みが必要です。 より具体的にご説明しますので、対応可能か、対応が難しければ代替案はないか、確認してください。
1.【プロダクト】プロダクトを良いものにする
PLGを実践するにあたり、ベースとなる取り組みは「プロダクトを良いものにする」ことです。
課題解決に役立つ、利用するために費用を払うだけの価値がある、と思える機能を持ったものでなければ、ユーザーは契約/契約継続、アップグレード/クロスセルに応じはしません。
また、他の人にも勧めたいとも考えないでしょう。 プロダクト自体が魅力的でなければ、PLGを実践しても目に見える効果は得られないのです。
2.【プロダクト】プランの見直し
PLG実践には、機能+価格、つまり「プランの見直し」も重要です。
たとえば、フリーミアムの場合、プロダクト利用は無料から開始されます。 無料で使ってみたその後、「より高度な機能を使いたい」と感じたとき、契約しやすい価格、もしくは使える機能の数/内容に応じた適切な価格を設定してあれば、ユーザーはためらわずに次のステップに進んでくれるでしょう。
3.【カスタマーサクセス】Call to actionの整備
PLG施策を成功に導くには、事前に決めておいたイベント発生時にオペレーターに通知する仕掛け(CTA)が働くようにする必要があります。そうすれば、タイミングを逃さず適切な対応ができるでしょう。
テックタッチでユーザーの抱える問題の解消ができれば、それが一番です。 ただ、もしもハイタッチ層の場合、「顧客の利用頻度が落ちている」「従来の使い方から変化がみられる」といったとき、CS担当者への通知があれば、スピーディーにヒアリング+利用方法の再提案に動くこともできるでしょう。
4.【カスタマーサクセス】パーソナライズされた提案
PLG実施には、より顧客のニーズに寄り添うために、ユーザー固有の使い方に合った提案も重視します。 たとえば、特定の機能を多く使っているユーザーなら、その機能をさらに拡張するオプションを勧めるといいでしょう。
また、利用開始時期から数え、一定期間が過ぎるごとに「こんな使い方ができます」といったメッセージを提示することも大事かもしれません。
ユーザーの利用状況や傾向といったデータを取り続けられる仕組みと、それに応じた提案のできる仕組みとがプロダクトに追加できていれば、顧客が真に求めるものを提示できます。 「サービスを使いこなせずに契約終了」といったことも回避できますし、さらにいえば、ユーザーにとって本当に適切な提案であれば「契約を更新しよう」「提示されたオプションも検討してみよう」と思ってもらえるでしょう。
このように事業をとおして得られるさまざまなデータをもとに、戦略を策定したり、意思決定したりすることを「データドリブン」な経営戦略といいます。
近年顧客の購買行動が複雑化したことで、従来の勘や経験に基づく企業運営では対応できなくなりました。しかし自社が対象とする市場や顧客のデータを収集して分析すれば、根拠に基づいた費用対効果の高い施策を打てるようになりますので、注目されている仕組みになっています。
「データドリブンなカスタマーサクセス」について詳しく知りたい方には下記のホワイトペーパーをおすすめします:
>>利用状況分析の仕方からカスタマーサクセスの最適化へ:データドリブンCS
※カスタマーサクセスについては、「カスタマーサクセスとは?その活用方法や事例をわかりやすく解説!」をご一読ください。
|まとめ
Product-Led Growth(PLG)は、製品やそれに付帯するCSを魅力的にすることで売り上げを伸ばしていくという考え方です。 プロダクトそのものが魅力的かどうか、CS体制はどうかと、ユーザーが触れるものすべてをトータルで考え、最善の物にブラッシュアップしていくことがとても大切でした。 貴社のプロダクトはどうでしょうか。
もしもプロダクトに自信があっても、CS(=PLG)が適切かどうか不安なときは、最適化できるツールの導入を検討してみてください。
|PLGが実現できる「pottos」
弊社がご提供しています「pottos」は、PLG実現に役立てていただけるツールです。
ユーザーの利用状況データの採取とその分析、顧客の状況に合わせたメッセージの出し分けができますので、貴社のプロダクトをしっかりサポートします。 また、採取した各種データから、解約の兆候を発見したり、オンボーディングが順調に進んでいるかを判断できる仕組みを備えています。
「PLGに欠かせない実効性のあるツールは何か」で悩んでいるのなら、ぜひpottosの資料請求をしてください。 事例のご紹介もいたしますのでお気軽にお問い合わせください。