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3倍じゃなきゃダメ?SaaSに重要なLTV&CAC計算方法を解説

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3倍じゃなきゃダメ?SaaSに重要なLTV&CAC計算方法を解説

SaaSビジネスにおいて、LTV/CACでユニットエコノミクスを算出することは経営判断に欠かせません。ユニットエコノミクスが3を超えればビジネスは健全に成長しているとされますが、そもそも「3」という数字に根拠はあるのでしょうか?

今回は、「LTV/CACはどうして3以上がいいとされているの?」「そもそもLTVやCACの算出方法がわからない」といった方に向けて、LTVとCACの計算方法を紹介したうえで、LTV/CAC>3が理想とされる理由を解説していきます。

LTVを増大させる方法、CACを抑える施策もあわせて紹介しますので、最後まで読んでいただければ、LTVとCACを正しく理解し業績向上に役立てられるようになるでしょう。



|ユニットエコノミクスの指標LTV&CACとは?



ユニットエコノミクスとは、事業の最小単位(=1ユニット)あたりの収益性を測定する指標のことです。SaaSビジネスにおいては最小ユニットを1ユーザーとし、採算性を示す指標とします。ユニットエコノミクスは「LTV/CAC」で算出されます。

LTV(Customer Lifetime Value=顧客生涯価値)は、顧客がサービスの利用を開始してから解約するまでの間にもたらすトータルの収益のことです。商品を1度購入すれば終わりの買い切りモデルと異なり、SaaSをはじめとするサブスクリプションモデルにおいては、顧客との関係性が長期にわたることを前提としています。そのためいかにLTVを最大化するかが、ビジネスの拡大には重要なポイントになります。

一方CAC(Customer Acquisition Cost=顧客獲得コスト)は、1ユーザーを獲得するのにかかった広告費や営業費といった費用のことです。企業経営においては、CACをできるだけ抑えたうえで新規顧客を獲得することが重要であることは言うまでもないでしょう。

ユニットエコノミクスを理解するためには、LTVとCACの理解が欠かせません。まずはLTVとCACの計算方法を確認しましょう。



■LTVの計算方法

SaaSにおいてのLTVは、以下の計算式を用いて算出します。

LTV=ARPA(Average Revenue per Account=1顧客あたりの平均月単価)÷チャーンレート(解約率)

例えば、

ARPA:1,000円
チャーンレート(解約率):2%

であった場合、

LTV=1,000円÷2%=50,000円

と計算されます。LTVは

・ ARPAが大きくなる
・ チャーンレートが低くなる

ことで、ユーザーから得られる利益が増えることがわかります。



■CACの計算方法

CACを算出する際には、以下の計算式を用います。

CAC=顧客獲得にかかるトータルコスト÷新規顧客獲得数

例えば、

・ 顧客獲得にかかった広告宣伝費や営業コストのトータル:30万円
・ 獲得できた新規顧客数:60人

であった場合、

CAC=30万円÷60人=5,000円

と算出されます。CACを下げるためには、

・ 顧客獲得にかかるトータルコストを下げる
・ 新規顧客獲得数を増やす

のいずれかを行う必要があることがわかります。



■指標の関係性は?

ユニットエコノミクスを用いて事業の収益性をチェックするときには、LTV/CACを計算し、1を超えているかを確認します。1を超えていれば黒字であるため、利益は増えていきます。しかし1を下回っている場合には、売れば売るほど赤字が膨らみ、事業継続は困難になるでしょう。

こういった判断は、数値を別々に見るだけではできません。

例えば、

ARPA:800円
チャーンレート:2%
CAC:8,000円

という数字だけを見ると、「月間売上800円の顧客獲得に8,000円もかけるのは高すぎる」と判断してしまいがちです。

しかしユニットエコノミクスを算出すると、

LTV(800円÷2%=40,000円)/CAC(8,000円)=5

となり、8,000円の顧客獲得コストに対し5倍もの収益を生み出していることがわかります。顧客獲得にかけたコストは10ヶ月で回収できることから、「もっと投資してもいいのでは」と経営判断できるのです。

SaaSビジネスにおいて利益を出して事業を拡大していくためには、

・ LTV/CACが3以上
・ チャーンレート3%未満
・ CAC回収期間が12カ月以内

になることが理想とされています。



|SaaS企業のLTV/CACは3以上とされている理由



LTV/CACで算出されるユニットエコノミクスは3以上が理想とされていると述べましたが、どうして3とされているのか理由を考えてみましょう。

ユニットエコノミクスを算出するのに必要なLTVとCACの計算方法は以下の通りでした。

・LTV=ARPA(Average Revenue per Account=1顧客あたりの平均単価)÷チャーンレート(解約率) …①
・CAC=顧客獲得にかかるトータルコスト÷新規顧客獲得数

さらにCACの回収期間(Payback Period=1顧客獲得にかけたコストの回収期間)は以下のように計算します。

・CAC回収期間=CAC÷ARPA

これを以下のように書き換えます。

・CAC= ARPA×CAC回収期間 …②

①と②をLTV/CACに代入すると、

(ARPA÷チャーンレート)/(ARPA×CAC回収期間)

となり、分子分母でARPAが消えるので

となります。

1÷チャーンレートは平均継続期間といえるため

と置き換えられます。

そして先に述べたように、SaaSにおけるCAC回収期間は、一般的には12カ月以内であることが理想とされています。

LTV/CACが3を目指すということは、「平均継続期間/CAC回収期間=3」を目指すということなので、CAC回収期間が12カ月なら平均継続期間は3倍の36カ月です。

平均継続期間が36カ月なら、チャーンレートは(1/36)で、およそ2.8%と算出され、BtoBのSaaSビジネスにおいて理想的とされる「チャーンレート3%未満」を満たします。

つまり、「CAC回収期間12カ月」と「チャーンレート3%未満」を満たすと、自動的におおむね「LTV/CAC>3」が成立することになり、

「LTV/CACで算出されるユニットエコノミクスが3以上なら健全」

であるといえるのです。

参考:https://www.wantedly.com/companies/wantedly/post_articles/136733



|LTV/CAC比率を上げる改善方法


LTV/CACの比率を上げ、ユニットエコノミクスを改善して3に近づける、あるいは3以上にするための方法を考えていきましょう。

LTV/CACの数値を高くするのであれば、考えられるのは2つしかありません。

・ LTVを高める
・ CACを下げる

それぞれで取れる対策を紹介します。



■LTVを高める

LTV=ARPA(Average Revenue per Account=1顧客あたりの平均単価)÷チャーンレート(解約率)であることを考えると、LTVを高めるためには

①チャーンレートを下げる
②ARPAを上げる

のいずれか、もしくは両方の施策を行う必要があります。



オンボーディングの徹底

LTVを高める基本的な施策は、オンボーディングを徹底することです。オンボーディングとは、SaaSの導入時期においていち早くサービスに慣れて継続してもらえるようサポートし、チャーン(解約)を防ぐ取り組みのことです。つまりオンボーディングの徹底は、LTVを上げる2つの施策のうち、①のチャーンレートを引き下げる施策に該当します。

LTVは長期継続してもらうほど高くなることから、解約させないことがもっとも重要です。そのためには導入の初期段階で、満足度の高い成功体験=カスタマーサクセスをさせる必要があります。

顧客はプロダクトやサービスの初期段階で、「望んだ結果がもたらされる」可能性を強く感じなければ継続することはありません。そしてそれにはプロダクトやサービスそのもののクオリティはもちろん、サポート体制も大きく影響します。

「人の第一印象は出会って3秒で決まる」と言われていますが、サービスも同じです。導入の初期段階で最善を尽くし、「使い続けたい」と思ってもらうことが大切です。

オンボーディングについて詳しくは、以下の記事をご覧ください。

オンボーディングとは?重要である理由と、あの企業の実施方法3選
ンボーディングを最短で終わらせる必要がある3つの理由と具体的方法



アップセル・クロスセル

LTVを引き上げる取り組みのうち、②のARPAを引き上げる施策としては、アップセル・クロスセルを増やすのが効果的です。

アップセルとは「より高いものを購入してもらう」「今のプロダクトやサービスにさらにプラスαでオプションなどを購入してもらう」ことを指します。対してクロスセルは「現在利用中の商品やサービスと組みあわせて使うとより良い効果が得られるものをあわせて購入してもらう」ことを意味します。どちらも顧客単価を引き上げるには効果的な施策です。

アップセルの例としては、サービスを更新するときにさらにグレードの高いプランに変更してもらう、さらに便利なオプションを追加してもらうといったことが考えられます。クロスセルに関しては、たとえばサーバーを契約する顧客に対して、セキュリティソフトの導入も勧めるといった手法が例として挙げられます。

ただし、アップセル・クロスセルのニーズを引き出すためには、オンボーディングで顧客の信頼を勝ち取ったうえで継続利用してもらうことが大前提です。サービスや商品に満足してもらえなければ、どちらの施策も成功するのはかなり難しくなるでしょう。

アップセルについて詳しくは、以下の記事をご覧ください。

アップセルとは?カスタマーサクセスで再注目される概念や実現のポイント



再購入・契約更新率を高める

再購入・契約更新率を高めると、チャーンを引き下げると同時にARPAを引き上げることが可能です。

継続的に使用してもらえれば再購入・契約更新の確率が高くなりますが、そのためにはオンボーディングを成功させチャーンを防ぐと同時に、ヘルススコアで利用状況を継続的に確認することが大切です。

ヘルススコアとは、顧客がサービスを継続利用してくれるかを知るための指標を指します。指標はサービスや商品によって異なりますが、一般的には以下のようなものが考えられます。

・ ログイン回数
・ サービス内での滞在時間
・ 重要機能の活用頻度

顧客がサービスに不満を感じている、あるいは使いこなせていなければ、利用回数が減っていくことは容易に想像できるでしょう。しかし顧客に確認しても正直に答えてくれるかわからないうえ、すべての顧客の状態を直接確認してフォローするのは現実的ではありません。その点ヘルススコアを確認すれば、顧客の主観が混じらない数値として測定できることがメリットです。

ヘルススコアで設定した指標を下回った顧客に対しては、最優先でサポートを実施してチャーンを防ぎ、継続利用に結びつけることが大切です。

ヘルススコアについて詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

ヘルススコアとは?サブスクリプション型サービスに必須の視点



顧客ロイヤルティを計測(NPS®)

ヘルススコアでチャーンの危険性の高い顧客のフォローをすると同時に、顧客ロイヤルティを計測してロイヤルティの高い顧客のケアを実施するのも有効な施策です。顧客ロイヤルティを計測するには、NPS®を実施します。

NPS®(ネット・プロモーター・スコア)とは、「サービスや商品を友人や同僚にすすめる可能性」を、0〜10点で回答してもらうことで顧客ロイヤルティを可視化する方法です。目には見えない顧客ロイヤルティを数値化することで、サービスや商品、さらにはブランドに対する評価を確認することができます。

NPS®のスコアと自由記述による回答を総合的に分析すれば、顧客が商品やサービスのなにに不満を感じ、どういった点に満足しているのかを洗い出せます。ロイヤルティの高い顧客を優先的にケアして契約を維持すれば、効率的にLTVを向上できます

NPS®について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

→【事例あり】NPS®とは?顧客満足度より業績向上に繋がる指標を解説



■CACを抑える


ここではLTV/CACの数値を高くするもうひとつの施策として、CACを抑える方法を考えてみましょう。CACには

・ Organic CAC:既存顧客の紹介や口コミ、自然検索からの流入などでの顧客獲得に要したコスト
・ Paid CAC: Web広告や営業など資金を投入して獲得した顧客コスト
・ Blended CAC:Organic CACとPaid CACをあわせた顧客獲得コスト

の3種類があります。そして

CAC=顧客獲得にかかるトータルコスト÷新規顧客獲得数

であることから、CACを下げるためには

①顧客獲得にかけるトータルコストを減らす
②新規顧客獲得数を増やす

のどちらかもしくは両方を実施すればいいことがわかります。



自然流入の新規顧客を増やす

①の顧客獲得にかけるコストを減らす対策としては、Organic CACによる自然流入を増やす施策が有効です。具体的にはSEO対策を実施し自然検索からの流入を増やす、サポートを充実させ顧客ロイヤルティを高め口コミしてもらうなどが考えられます。



Paid CACのCVRを上げる

②の新規顧客獲得数を増やすための施策としては、Paid CACのCVR(コンバージョン率)を上げることを考えると効果的です。Web広告の文言を見直しCTR(クリック率)を上げる、営業手法を見直すといった方法が考えられるでしょう。



|カスタマーサクセス対策でLTV最大化させるツールpottos



LTVを最大化させるためには、導入時のオンボーディングを成功させ、ヘルススコアを継続的に測定して顧客をフォローするカスタマーサクセスが欠かせません。効率よくカスタマーサクセスを実施するには、ツールを導入するのがおすすめです。

pottosはBtoBプロダクト向けのカスタマーサクセス専用管理ツールで、顧客のステージに応じたフォローを適切に行うのに役立ちます。導入時にはサービス設定状況や利用状況などに応じたオンボーディングをサポートし、その後はヘルススコアを測定して利用状況を監視しポップアップ通知を配信するなど適切なアプローチを行います。カスタマーサクセス担当者の業務の進捗を管理し、対応の漏れを防ぐことも可能です。

お客様の声

"共通する内容でつまずいているユーザーには、セグメントごとに届けたい情報をサジェスト機能とメール配信機能を使い、テックタッチでのサポートを。個別に対応が必要なユーザーには、pottosで得たユーザーの行動ログを利用したハイタッチのサポートを。日々手作業で行っていたタスクが削減されたことにより、状況に合わせて最適なサポートを提供できるようになりました。"

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|まとめ


SaaSの成功ラインが、なぜ「LTV/CAC>3」とされているのか、理由を詳しく解説したうえで、LTV/CACを向上させる方法を紹介してきました。

・ 「CAC回収期間12カ月」と「チャーンレート3%未満」を満たすと、おおむね「LTV/CAC>3」が成立する
・ LTV/CACを改善するには、LTVを向上させてCACを抑えるのが有効
・ LTVを向上させるにはチャーンレートを下げる・ARPAを上げる施策を実施する
・ CACを抑えるには自然流入の新規顧客を増やす・Paid CACのCVRを上げる施策を実施する

LTV/CACを改善するためにどのような施策をとるにしても、もっとも重要となるのは「顧客の目標を理解して満足度を高めること」です。顧客がサービスや商品に満足しなければ、継続につながらずチャーンが発生し、経営は悪化していきます。顧客を適切にサポートし、契約を継続し続けてもらうには、ツールを活用するのがおすすめです。

※ネット・プロモーター、ネット・プロモーター・システム、NPS®、そしてNPS®関連で使用されている顔文字は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標またはサービスマークです。

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