【図・具体例あり】ロイヤルカスタマーとは?定義、類語と創出方法を紹介

「ロイヤルカスタマーとはどんな顧客を指すの?」
「ロイヤルカスタマーってどうやって育てるの?」
このように考えてはいませんか?
近年業績を伸ばす施策を考えるときに、「ロイヤルカスタマー」に注目する企業が増えてきました。しかし具体的にロイヤルカスタマーがどんな顧客か、そもそもなぜ重要なのかが分からない人も少なくないようです。
そこで今回の記事では、ロイヤルカスタマーの定義から、ビジネスで重要とされている理由、さらに育成の方法まで詳しく解説していきます。
最後まで読んでいただけると、ロイヤルカスタマーについて理解して、自社でも育成できるようになるでしょう。
|ロイヤルカスタマーとは?
まずは、そもそもロイヤルカスタマーとはどのようなものなのか、定義や言葉の意味、上位顧客との相違点などを解説します。
■ロイヤルカスタマーの定義
ロイヤルカスタマーとは、「自社の熱烈なファン」である顧客を指します。
顧客と一口にいっても、下図のように自社との関係の深さに応じていろいろな層が存在します。 「潜在顧客」は自社の商品やサービスを知らない層です。そこから自分のニーズや自社の商品・サービスを認識し、購入に近づくと「見込み顧客」となります。やがて購入に至り、利用を開始すると「新規顧客」となり、そこからさらに商品やサービスを気に入り、繰り返し利用してくれる「リピーター」になる、あるいは育てます。
このようにステップを踏んで自社との距離を縮めてきた顧客の、トップに位置するのが「ロイヤルカスタマー」です。
ロイヤルカスタマーには、以下のような特徴があります。
・他社の商品やサービスには見向きもしない
・自社の商品やサービスに愛着と信頼を持ち、繰り返し購入してくれている
・第三者に自発的におすすめしてくれる
ロイヤルカスタマーは、顧客自身が売上に貢献してくれるのはもちろん、自社商品の良き理解者としてすすんで他の人にも推奨してくれます。つまりロイヤルカスタマーが増えるのに比例して、自社の利益も増大します。企業活動において、顧客をロイヤルカスタマーに育てることは、重要な施策のひとつなのです。
■英語でロイヤルカスタマーというのは?日本語での類語は?
ロイヤルカスタマーは、英語では「Loyal Customer」と表します。Loyalは「忠誠心のある」を、Customerは「顧客」を意味し、直訳すると「忠誠心のある顧客」となります。英語におけるLoyalは、個人の心、感情から自然と湧き出るものであり、人から与えられたり、強制されたりして持つものではないことが特徴です。
日本語では、カタカナで「ロイヤルカスタマー」もしくは「ロイヤル顧客」と表すのが一般的です。強いて言うなら、「常連客」がもっとも意味が近い日本語でしょう。
ロイヤルカスタマーの類語としてよく挙げられるのは、「アンバサダー」です。アンバサダーは「大使」や「使節」を意味しますが、ビジネスにおいては、商品やサービスの良さを発信してくれる人を指します。自社商品の熱烈なファンであるロイヤルカスタマーは、第三者に自社の商品やサービスを推奨してくれるので、アンバサダーの役割も果たしています。
■売上上位顧客との違い
ロイヤルカスタマーは、売上への貢献度が高いことから、「売上上位顧客」を指すと捉える人も多いようです。たしかにロイヤルカスタマーは売上上位顧客ではありますが、売上上位顧客のすべてがロイヤルカスタマーではありません。
「顧客全体のうち2割の顧客が売上の8割を上げている」と聞いたことはないでしょうか。これは「パレートの法則」、または「2:8の法則」と呼ばれるものです。すべての顧客を平等に扱うよりも、売上の8割を支える2割の売上上位顧客を差別化することで高い費用対効果が得られることを意味しています。
ここで注意したいのは、売上上位顧客のなかには、集計対象期間中に1度だけ多くの購入をした顧客も含まれることです。ロイヤルカスタマーである条件には、商品やサービスを繰り返し購入してくれるリピーターであること、つまり継続期間が長いことが必須です。つまり、売上に貢献したといっても、購入が1度きりであればロイヤルカスタマーとはいえません。
■優良顧客=ロイヤルカスタマーではない
売上上位顧客のうち、1度切りの購入者はロイヤルカスタマーとは呼ばれないと説明しました。それでは何度も繰り返し商品やサービスを購入し、売上に大きく貢献してくれる顧客すべてがロイヤルカスタマーなのでしょうか。
リピーターとして売上に貢献する顧客は、「優良顧客」と呼ばれます。優良顧客はロイヤルカスタマーの、「商品やサービスを繰り返し購入してくれるリピーター」という条件を満たしています。しかし「優良顧客=ロイヤルカスタマー」という式は成り立ちません。
なぜなら商品やサービスを繰り返し購入しているリピーターのなかには、以下のようネガティブな理由で購入を続けている人がいるためです。
・長期契約をしてしまったのでやめたくてもやめられない
・契約は簡単だったのに解約の手続きが煩雑で面倒
・気に入らない部分はあるけれどもほかにいい商品を見つけられない
継続利用している理由が「商品やサービス、ブランドそのものが好き」といったポジティブなものでない顧客は、ロイヤルカスタマーではありません。ネガティブな理由で優良顧客である人が、友人知人に商品やサービスをおすすめしてくれるでしょうか?むしろ契約更新のタイミングや他社でもっといい商品を見つけると、さっさと自社から離れてしまうでしょう。
パレートの法則に従いロイヤルカスタマーを差別化するときには、「売上貢献度」だけに着目すると見誤ってしまいます。売上上位顧客のなかからまずリピーターである優良顧客を洗い出し、さらにそこから顧客のロイヤルティを測定して、「真のロイヤルカスタマー」を選別する必要があるのです。
|ロイヤルカスタマーの重要性
忠誠心を持ち、売上に大きく貢献してくれるロイヤルカスタマーが企業にとって重要なことは明白です。その重要性を、さらに詳しく解説します。
■最近注目されるようになった背景
まずは、最近これほどまでにロイヤルカスタマーが注目されるようになった背景を押さえておきましょう。
もっとも大きな理由は、新規顧客を獲得し続けることでしか売上が立たないビジネスは、成り立たなくなってきたことです。人口の減少、経済の低迷、通信技術の発達による消費者の購買行動の変容など、さまざまな理由で多くの市場は飽和し、新規顧客の獲得は困難になってきています。そのため多くの企業が、新規顧客の獲得より、既存顧客を重視する方向にシフトしました。
そもそも新規顧客に販売するコストは、既存顧客にかかるコストの5倍必要といわれています。いわゆる「1:5の法則」です。困難さを増すばかりの新規顧客の獲得に資金を投じるより、既存顧客を維持し、そのなかからロイヤルカスタマーを育成するほうが報われるとの経営判断をする企業が増えてきたのです。
さらに買い切り型のビジネスモデルから、サブスクリプション型のビジネスモデルへの転換が進んでいることも、ロイヤルカスタマーが注目される理由のひとつです。
従来の買い切り型のビジネスモデルでは、商品やサービスの購入と同時に所有権が顧客に移り、その時点で売上が最大となることが特徴です。一方サブスクリプション型ビジネスモデルにおいては、購入した時点では顧客から得られる利益はほとんどなく、関係を継続することで売上が増えていきます。企業は自社の商品やサービスを好きになってもらい、「ずっと使い続けたい」と思う顧客、つまりロイヤルカスタマーを育てる努力が求められるようになりました。
このように、これからの時代を勝ち抜いていくには、どこかのタイミングで新規顧客の獲得から、既存顧客の維持、そしてロイヤルカスタマーの育成へと比重を移すことが必要なのです。
■メリット1)LTVが向上する
ロイヤルカスタマーを増やす最大のメリットは、LTVが向上することです。
LTVとは、Life Time Valueの略語で、「顧客生涯価値」と訳されます。「一人の顧客が生涯を通して自社の商品やサービスを購入することで得られる利益の総額」を指します。LTVは、継続期間が長くなるほど増え続けることが特徴です。
ロイヤルカスタマーは、自社の商品やサービス、ブランドに強い愛着を持つ熱烈なファンであることから、他社に目移りすることなく長く使い続けてくれます。そのためロイヤルカスタマーが増えるほど、LTVが向上していくのです。
■メリット2)推奨で新規顧客を紹介してもらえる
ロイヤルカスタマーは、気に入って使っている商品やサービスを、友人や同僚、あるいはSNSでつながっている第三者に推奨してくれる「アンバサダー」であることも特徴です。自分がいいと思っているものを、ほかの人にも同じように好きになってもらいたい、いい体験を共有したいといった心理が働くためです。
推奨された人も、「あの人が使っているなら安心」と思う確率は高くなります。企業から営業されるより、親しい人からおすすめされたほうが信頼度が高く、購入への心理的ハードルが下がるためです。
新規顧客の獲得が難しくなってきている今、ロイヤルカスタマーは優秀なセールスマンとなり得るのです。
■メリット3)CX改善につながるフィードバックをもらえる
ロイヤルカスタマーは、CX(Customer Experience=顧客体験)の改善につながる良質なフィードバックをしてくれることもあります。
ロイヤルカスタマーは商品やサービスのヘビーユーザーであるため、「ここがこうなってるともっと使いやすい」と、企業側からは思いもつかなかった改善点を指摘してくれることがあります。一般の顧客であれば、「使いにくいからほかを探そう」と思いますが、ロイヤルカスタマーはファンであるため「もっと良くなってほしい」と考えるのです。
このようなロイヤルカスタマーのユーザー目線での意見は、商品やサービスの改善に大いに役立ちます。場合によっては新たな商品の企画・開発に結びつくこともあるでしょう。
|ロイヤルカスタマーを創出するには?
ロイヤルカスタマーは、自然に生まれることもありますが、企業側が意図的に育成することも可能です。これからの企業発展に欠かせないロイヤルカスタマーの創出は、以下の順番で進めます。
STEP1)顧客ロイヤルティの数値化と分析方法
STEP2)組織全体の取り組み
STEP3)心理的ロイヤルティの向上
STEP4)顧客との接触機会を増やす
STEP5)ロイヤルティプログラム
順番に解説します。
■STEP1)顧客ロイヤルティの数値化と分析方法
ロイヤルカスタマーを創出するには、多くの優良顧客のなかから、候補となり得る顧客を絞り込むことから始めます。そのためには以下のような手法を複数用いて顧客ロイヤルティを数値化し、分析する必要があります。
指標1)LTV
顧客が自社において生涯で生み出す利益を指すLTVは、顧客ロイヤルティを測る重要な指標です。顧客のLTVを算出する方法は数多くありますが、もっとも基本となるのは以下の計算式です。
LTV = 顧客単価 × 購買頻度 × 継続期間
ロイヤルカスタマーは「購入単価」「購買頻度」のいずれも高く、「継続期間」も長いことが特徴であるため、ほかの顧客よりもLTVの数値が高くなります。
ただしLTVは、顧客ロイヤルティを測る指標のひとつとなりますが、「売上」という側面でしか見ていない点には注意が必要です。「商品やサービス、ブランドそのものが好き」というポジティブな感情や、「ほかの人におすすめしたい」と思っているかまではわからない点には注意が必要です。
指標2)RFM分析
RFM分析も、顧客ロイヤルティを測定するのに役立ちます。RFM分析は、以下の3つの指標に基づき顧客をランク付けする手法です。
・Recency(直近の購入日)
・Frequency(購入頻度)
・Monetary(購入金額)
Recency、Frequency、Monetaryのすべてにおいて数値が高い顧客は、顧客ロイヤルティが高い可能性があります。
ただし、LTVと同様に、RFM分析においても、ロイヤルカスタマーの「ポジティブな購入動機」「第三者への推奨者」といった特性を持ち合わせているかまではわかりません。
指標3)NPS®
顧客ロイヤルティを測る手法としては、NPS®(ネット・プロモーター・スコア)もあります。
NPS®は、「サービスや商品を友人や同僚にすすめる可能性」を、0〜10点で回答してもらうことで顧客ロイヤルティを可視化する方法です。点数に応じて、顧客を以下の3種類に分類します。
・6点以下をつけた顧客:批判者
・7〜8点をつけた顧客:仲立者
・9〜10点をつけた顧客:推奨者
NPS®を実施すると、ロイヤルカスタマーに欠かせない、第三者に自発的におすすめしてくれる「推奨者」であるかを、数値化して確認できます。その点数をつけた理由もあわせて回答してもらえば、「ポジティブな購入動機」があるのかを知ることも可能です。
ただしNPS®は、顧客ロイヤルティの高さはわかりますが、売上への貢献度は測れない点には注意しましょう。
NPS®について詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
【事例あり】NPS®とは?顧客満足度より業績向上に繋がる指標を解説
NPS®について事例を踏まえて詳しく解説するとともに、顧客満足度調査との違いについても詳しく解説しています。「NPS®の活用方法がよくわからない」という方でも、読み終える頃には具体的なアクションを踏むことができるようになっているでしょう。
■STEP2)組織全体の取り組み
LTVやRFM分析を実施し、NPS®で顧客ロイヤルティを測定したら、ロイヤルカスタマーの創出には組織全体で取り組みます。
LTVやRFM分析、NPS®のすべてにおいて高スコアを出した顧客は、すでにロイヤルカスタマーであるので問題ありません。ロイヤルカスタマーの有力候補となるのは、LTVやRFM分析で数値が高い、つまり売上に貢献しているにも関わらず、NPS®で低い数値を示した顧客です。
収益性は高いのに、商品やサービスのファンでないのはなぜなのか、NPS®の回答から理由を分析してみましょう。「商品に使いにくい部分がある」「サポートが物足りない」など、挙げられた理由を精査して、担当部門を割り当て、組織全体で改善に取り組むことが必要です。
■STEP3)心理的ロイヤルティの向上
顧客をロイヤルカスタマーに転化させるには、最終的には心理ロイヤルティを向上させることが必須です。
NPS®のスコアが低い顧客は、心理ロイヤルティが低い状態です。心理ロイヤルティとは、自社の商品やサービス、ブランドに対する愛着や信頼といったプラスの感情を指します。
NPS®スコアが低い理由に「商品に使いにくい部分がある」といった理由を挙げた顧客が多かったなら、改善に取り組むことは重要です。顧客に誠実に向き合うことは、ロイヤルカスタマーの育成には欠かせません。
しかし商品やサービスを改善したら、心理ロイヤルティが上がってロイヤルカスタマーになるかといえば、必ずしもそうではありません。顧客の満足度は上がりますが、もっといい商品やサービスを見つけたら、そちらに乗り換えてしまうかもしれないためです。
顧客をロイヤルカスタマーに育成するには、商品やサービスを通しての「成功体験」や「感動体験」が必要です。顧客を商品やサービスのファン化し、「愛着」と「信頼」を寄せてもらうには、「心を満足させる」ことが大切なのです。
その点「サポートが物足りない」という課題は、改善することで心理ロイヤルティを上げられる可能性があります。購入した商品が故障して困ったときに、「すぐに新しい商品と交換してくれた」「その日に修理に来てくれた」といった体験は、顧客の心を満足させるためです。
「この企業は頼りになる」と企業へのポジティブな感情がわけば、ロイヤルカスタマーに転じる可能性は高まるでしょう。
ロイヤルカスタマーを育成するには、どうすれば顧客の心理ロイヤルティを向上できるのかを、顧客視点で考えることが重要です。
■STEP4)顧客との接触機会を増やす
心理的ロイヤルティを向上させる方法のひとつとして、顧客との接触機会を増やすことが挙げられます。コミュニケーションを取らない企業に対して、顧客が愛着を持つ可能性は低いでしょう。
そのためには、企業側から顧客に対して積極的に接触機会を増やすことが大切です。メールやSNSなどを通じて、「新しい商品・サービスを紹介する」「よりよい使い方のアドバイスをする」など、顧客の課題解決につながる情報を提供しましょう。
とくに商品やサービスを使い始めたばかりの顧客は、不安を抱えているものです。能動的に関与して、スムーズに運用できるようにサポートすれば、顧客は「支援してもらえる」と安心感を得られます。目的を達成するまで適切なタイミングで接触して支援し、「成功体験」を与えられれば、「ずっと使い続けたい」と顧客に思ってもらえます。
なお、このような企業側からの能動的な取り組みは、カスタマーサクセスと呼ばれます。カスタマーサクセスについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
【入門編】カスタマーサクセスとは?基礎から徹底的に解説
カスタマーサクセスに取り組むことになったけど、基礎的なことから知りたい。このようにお考えの方に向けてカスタマーサクセスの基礎から運用に至るまでの必要最低限の知識を網羅。読むことで、同僚・上司に概念を伝えるだけの知識が身につきます。
■STEP5)ロイヤルティプログラム
ロイヤルカスタマーを創出するには、ロイヤルティプログラムを導入するのも効果的です。ロイヤルティプログラムは、売上に貢献している「優良顧客」に、特典を与えることで優良な顧客体験をしてもらい、心理的ロイヤルティを向上させる手法です。
購入金額に応じてポイントを付与する「ポイント制度」をロイヤルティプログラムとしている企業もあります。ポイント制度は、ロイヤルティプログラムのひとつではありますがそれだけでは不十分です。顧客に「ずっと使い続けたい」と思ってもらうには、お得感だけではなく、優越感や特別感といった、心理的満足感を与えることが大切です。
ロイヤルティプログラムには、以下のようなものがあります。
・購入金額のランクに応じた限定サービスの提供
・新商品の先行販売
・会員限定のイベントへの招待
・お友達紹介による特典提供
ロイヤルティプログラムは、顧客の心理的満足度を高め、リピート率やLTVを向上させます。単なる「ポイント制度」や「割引きサービス」ではない、「特別な顧客体験」を意識したプログラムを考えましょう。
|ロイヤルカスタマーの事例
最後に企業が実際どのようにロイヤルカスタマーを創出しているのか、Salesforce.comとスターバックスの事例を紹介します。
■1)Salesforce.com
アメリカに本社を置くSalesforce.com(セールスフォース・ドットコム)は、CRM(顧客関係管理)ツールを提供する企業です。Salesforce.comでは、ロイヤルカスタマーを育成するために、以下の2つの取り組みを行っています。
①自社のツールを使う顧客を成功に導くため、顧客の目標の達成率や課題をまとめるなどして伴走する「カスタマーサクセス」を実行しています。顧客に寄り添って前のめりに課題解決に努めることで顧客の成功を支援し、「成功体験」させることで信頼を勝ち取っています。
②ユーザー同士が自由に意見交換したり、欲しい機能を提案したりできる「アイデアエクスチェンジ」と呼ばれるプラットフォームを用意しています。「アイデアエクスチェンジ」で提案された機能のうち、有益なものは実際に実装することで、ユーザーに「自分たちの声が届いた」という満足感を与えています。
このようにSalesforce.comは、「成功体験」と「満足感」を顧客に与えることで、顧客ロイヤルティを向上させることに成功しています。
■2)スターバックス
続けて同じくアメリカに本社を置き、世界規模でコーヒーチェーンを展開する「スターバックス」の事例を紹介します。
スターバックスには「STARBUCKS REWARDS(スターバックスリワード)」と呼ばれるロイヤルティプログラムがあります。購入金額に応じて「Star」が付与され、集めたStarはeTicketと交換してドリンクの購入などに使えます。ほかにも新商品の先行購入ができる、コーヒーセミナーを先行予約できる、会員限定のイベントに参加できるなどの特典が用意されていることも特徴です。
またSTARBUCKS REWARDSでは、専用アプリで支払いまで済ませると、店舗で会話することなく、現金に触れることもなく、すぐに飲み物を受け取れます。このサービスは、コロナ禍における生活様式に寄り添うプログラムとして多くの顧客に支持されました。その結果、このロイヤルティプログラムは、2017年に始まって以来3年間で620万人もの会員を獲得しています。
もちろんスターバックスが、「おしゃれな空間」「高級感」といった、ほかのコーヒーチェーン店では得られない「そこにいる特別感」を顧客に提供していることが、ロイヤルカスタマーの獲得に大きく貢献しているのは言うまでもありません。
このように、ロイヤルカスタマーを育てるためには、顧客の視点に立って、「満足できる体験」を提供することが大切です。
|まとめ
ロイヤルカスタマーの定義から重要性、育成方法まで詳しく解説しました。
・ロイヤルカスタマーは売上に貢献するだけではなく自社の商品やサービス、ブランドに「愛着」と「信頼」を持っていることが特徴
・新規顧客の獲得が難しくなった今、業績を伸ばすためには既存顧客をロイヤルカスタマーに育成していくことが大切
・ロイヤルカスタマーを育成するには、「心理ロイヤルティ」を高めることが重要
ロイヤルカスタマーは、自然発生的に現れるのが理想ですが、企業が意図的に育成することも可能です。まずは顧客ロイヤルティを測定して「ロイヤルカスタマー候補」を洗い出し、「心を満足させる」「成功体験させる」ことでロイヤルカスタマーに育てていきましょう。
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