【実践編】NPS®向上目的のPDCA回し方:企画~改善までのプロセス解説

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【実践編】NPS®向上目的のPDCA回し方:企画~改善までのプロセス解説

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【実践編】NPS®向上目的のPDCA回し方:企画~改善までのプロセス解説

前回の記事では、NPS®とは何か、顧客満足度調査との違いや業績向上との相関、導入と活用の方法などを解説しました。

NPS®は実施して現状を知ることが目的ではなく、アンケート結果をもとに商品やサービスの改善を進めていくことが重要です。

【実践編】となる今回は、NPS®を向上してCS(Customer Satisfaction=顧客満足度)と顧客ロイヤルティを高めるためにどのように取り組んでいけばいいのかを、実際にNPS®を導入し改善に成功した事例とあわせて解説します。

最後まで読んでいただくことで、NPS®の改善の仕方から、改善後の自社の姿をイメージできるようになるでしょう。

|NPS®向上の基礎:CS&顧客ロイヤルティを高めよう



なぜカスタマーサクセス関連のメディアにNPS®?と思われるかもしれませんが、「NPS®の低下はチャーンのリスクを意味する」ためです。

NPS®は、カスタマーにシンプルに「あなたはこの商品を家族や友人にどれくらいすすめたいと思いますか?」と尋ね、10段階で回答してもらうものであるのは前回詳しく説明しました。

人、それも自分の親しい人にすすめたいかと尋ねられたときに、9点、10点といった高いスコアをつける「推奨者」に該当する顧客は顧客ロイヤルティが高いと推察できます。対して0〜6点とする顧客は「批判者」に該当し、NPS®においてはプロダクトに不満を持ち、他者に悪い意見を広める可能性があるとみなされます。

NPS®は一度きりではなく繰り返し実施する必要がありますが、その際数値が下がってきた場合には「不満を持つ顧客が増えている」ことを意味し、当然ながらチャーンのリスクは高まるでしょう。

顧客が自分の親しい人にすすめたいと思うほどプロダクトに満足し、推奨者が増え批判者が減ればNPS®は自然と上昇します。同時にCSも顧客ロイヤルティも高まりチャーン率の低下が期待できることから、チャーン防止の指標のひとつとしてNPS®を高めていく工夫が大切なのです。

|NPS®を向上させる全チームの協力が必要



NPS®を向上させるには、プロダクトに関する全チームの協力が必要です。顧客がプロダクトの良さや質を判断するのはプロダクトそのものだけではなく、購入のしやすさやカスタマーサポートの対応などあらゆる点を加味するためです。

そのためNPS®の向上には、カスタマーサクセスチームだけではなく、カスタマーサポートチームやプロダクトチーム、営業チームといったあらゆるチームの協力が必要です。

■他チームが納得できるポイントを用意する

他チームの協力を得るには、なぜNPS®を向上させる必要があるのかを納得してもらう必要があります。もっとも理解を得やすいのは、NPS®向上が収益増加につながると示すことです。どのチームでも、最終的な目標は、自社の業績を伸ばすことであることに違いはないためです。

その際には、その事実を客観的データとして提示することが重要になります。同業他社のデータがないか調査し、まとめたうえで根拠として示しましょう。また具体的にNPS®が1ポイント上がることで、どれくらいの収益増を見込めるのかまで数値化できるとベストです。

利用者フィードバックをいくつかピックアップする

過去のNPS®のアンケート結果から、利用者のネガティブなフィードバックをいくつかピックアップし、関連チームに見てもらうのも効果的です。プロダクトやサポートに対する顧客の生の不満を知れば、チームとして危機感を覚え協力を得やすくなります。とくに競合と比較してのネガティブな意見を提示できれば、現場を刺激し発奮させることにもつながります。

ただし、ネガティブな意見だけを伝えるのは自チームへの批判と受け止められ、かえって逆効果になる可能性があります。ポジティブな意見も同時に伝え、ファンがいることを実感してもらったうえで、「さらによくしていくために」必要なことと認識してもらうといいでしょう。

分析結果を共有する

他チームにNPS®への協力を取りつけて改善を進めていったときには、その後NPS®にどう変化が現れているのか分析結果を共有しましょう。とくに顧客からポジティブな意見が寄せられたときには、現場にフィードバックすることで、モチベーションを向上させることができます。

とくにNPS®の向上と業績との相関がわかるデータが得られたときには、積極的にシェアすることが大切です。自分たちの努力や工夫が数値として目に見え上向いている実感が得られれば、さらに前向きな協力が期待できるでしょう。

■顧客の協力も必要になる

NPS®は顧客へのアンケート結果がもととなることから考えても、顧客の協力は必須です。ここからは顧客の協力を得るためにできることを紹介します。

アンケートに答えてもらうことが前提

NPS®を向上させようとしても、顧客がアンケートに答えてくれなければデータを得られず改善ポイントも見つけられません。そのため質問内容を簡潔にする、質問数を多くしすぎないなどアンケート自体を回答しやすいものにする工夫が必要です。

また顧客が飽きないように、そして調査の精度をあげるために、調査のたびに質問を見直すことも重要です。毎回質問が同じだと、「前回も同じような質問に答えたから今回は回答しないでおこう」と顧客が思う可能性があります。しかし質問が前回よりも深掘りされていれば、プロダクトをよくしたいという企業の姿勢が伝わり、好感度が高まることも期待できます。

インタビューやフォローアップに参加してもらう

寄せられた回答をもとに顧客をピックアップして、インタビューやフォローアップに参加してもらうことも大切です。ネガティブな意見を寄せた顧客にさらに詳しく話を聞く、またフォローできることは迅速に対応することで、「ちゃんと話を聞いてくれた」と印象を好転できる可能性があります。

また顧客の意見をもとに改善に取り組んだ事例があれば、積極的に周知しましょう。「顧客の声を大切にしてくれる企業」と認知・評価されれば、顧客ロイヤルティが向上し、結果的にNPS®の改善につながります。

|NPS®向上のプロセス(PDCA式)



それでは、具体的にPDCAを回しながらNPS®を向上していくプロセスを紹介します。

■Plan(計画):アンケート実施内容・詳細

NPS®を向上させるには、まず現時点での自社の立ち位置を明確にする必要があります。商品やサービスを利用したあとの適切なタイミングでアンケートを実施します。

質問の内容は、アンケートの目的によって異なります。また利用者すべてを対象にするのか、リピーターのみを対象にするのかによっても知りたいことは異なるでしょう。対象者を誰にするのかによって、NPS®をどう活用するかも違ってくるため、対象者を慎重に選んだうえで質問を考えることが大切です。

アンケートの具体的な作り方は、以下の記事をご覧ください。
【事例あり】NPS®とは?顧客満足度より業績向上に繋がる指標を解説

■Do(実施):アンケート調査

内容・対象者が決まったら、アンケートを実施します。NPS®に限ったことではありませんが、アンケートは回答数が多いほど精度を増します。そのため対象者を絞りすぎると母数が少なくなる点には注意が必要です。

アンケートは商品やサービスを利用した顧客にメールで依頼する、イベントやセミナー実施後に行うのが一般的です。

■Check(分析・評価):アンケート結果を分析

アンケートを集計し、

 ・批判者(0〜6点):不満を持ち、他者に悪い意見を広める可能性がある
 ・中立者(7〜8点):満足はしているが、他者に推奨もしない
 ・推奨者(9〜10点):満足していて、他者にすすめてくれる

に分類し、「推奨者の割合(%)−批判者の割合(%)」でNPS®スコアを出します。NPS®は−100〜+100の範囲内で算出されますが、マイナスになることは珍しくありません。数値だけにとらわれず、記述式の設問で寄せられた回答や業界のNPS®もあわせて総合的に分析しましょう。

■Act(改善):商品改善・サービス改善へ報告、計画

スコア帯別にどのような意見を持っているかを確認し、分析結果とあわせて他チームにもシェアします。とくに批判者が不満を感じている部分に関しては、今後どのようなフォローアップをするのか担当部署とプランを練り、製品やサービスの改善を進めます。

■Plan:上記Actで得られた情報を元に次のアンケートを計画し、改善計画も立てる

批判者が不満に思っている点や改善ポイントについて、さらに必要な情報や深掘りしたい内容を考えて、次のアンケート内容を改善しましょう。

|成果を出せる計画:短期間と長期間的な目標


NPS®では、最初から対象者を広くとり大規模な調査を行ったり、顧客層別に細かに複数の設問を作成して同時にアンケートを実施したりすると、多大なリソースが必要になります。調査結果の分析にも時間がかかり、PDCAサイクルを回すスピードに欠けてしまうことも問題です。

そのためまずは特定の顧客層や接点にターゲットを絞り、スモールスタートして短期間に進めることをおすすめします。

■長期的な目標:中立者を推奨者にする

一般的に、商品やサービスにおおむね満足している「中立者」を、顧客ロイヤルティの高い「推奨者」へと育成するのには長い時間がかかります。NPS®スコアを改善するなら、中立者を推奨者にするのは長期目標とし、まずは批判者を中立者にする取り組みを優先するといいでしょう。

■短期的な目標:批判者を中立者にする

商品やサービスに不満を持っている「批判者」に関しては、不満を感じている点が明らかになっていて、改善が可能である場合には比較的容易に「中立者」へと転化できる可能性があります。まずは取り組みやすい批判者から中立者への転化を進めてNPS®スコアを改善すれば、全社的に「成功体験」を得られてモチベーションが上がり、今後の取り組みをスムーズに進められるようになるでしょう。

|参考になるNPS®向上の成功事例を紹介


それでは実際にNPS®向上に成功した3社の事例を紹介します。

■ヤクルトスワローズ


ヤクルトスワローズのファンクラブ、「Swallows CREW」ではファンの声を活かせていないという課題を抱えていました。アンケートを実施していたものの、「会員種別を選んだ理由は?」「今回のイベントは何点でしたか?」といった漠然とした質問に終始し、全体の傾向を分析できていなかったのです。

そこでNPS®調査を採用しデータを分析したところ、地方在住ファンの「招待券を使う機会がない」「神宮球場のイベントに参加できない」といった不満が多いことがわかります。そこで地方の主催試合でファンクラブ向けの企画を実施する、ポイントと商品を交換するのに地方発送を可能にするといった改善施策を実施しました。

またファンクラブの入会特典をファンの要望にあわせて選択できるようにすることで、会員数が2.5倍に増加し、なかでもより愛着が強い「プラチナ会員」の数を急増させることに成功したのです。

■東京メトロ


東京メトロでは、全路線全駅で配布しているパンフレットの背面にアンケートを掲載し、「取り組みの認知度」や「冊子で一番おもしろかったもの」といった質問を掲載していました。回収率は5%と予想より高かったものの、分析ができずに次の活動に活かせないという問題を抱えていました。

そこでNPS®形式で結果を分析してみたところ、評価の低い人が何に言及し、高評価の人は何に注目しているかが可視化されたのです。その後東京メトロはアンケートにNPS®を導入し、「路線の推奨度」と「パンフレットの推奨度」を問うものに切り替えました。

その結果、路線の推奨度から路線の改善がどれだけ進んでいるのかを評価できるようになり、パンフレットの推奨度についてはコンテンツの改善に役立てられるようになりました。テキストマイニングもあわせて実行することで、千代田線ではロマンスカーの利用経験があるほどロイヤルティも高いことが判明したのです。

また大きなサービス改善を実施するときに「未来の期待値」を聞くことで、施策が実施された際のインパクトも確かめられるようになりました。東京メトロではNPS®を活用することで、路線そのものに愛着を持ってもらうことに成功しています。

■ビジネスホテル【メイプルイン幕張】


メイプルイン幕張では、お客様の声を集める取り組みをしていたものの、各部署でそれぞれ実践していたためデータを一本化できない課題を抱えていました。また普通のアンケートでは食事や部屋などの改善点はわかっても、そのうちどれが一番重要なのかがわからず、打ち手につながりにくいことも問題でした。

そこでNPS®を採用し、チェックインの際に鍵と一緒にアンケートを渡したり、インターネット経由の予約のお客様にアンケートメールを送ったりする取り組みを始めます。そして月に1度データを集計・分析し、優先度を決めて「いつまでに」「誰が」「何を」やるかを決めて対応を始めました。

NPS®を導入したことで、お客様に提供しているサービスの現状や、昨年同時期と比較して向上しているのかを判断する軸ができたのです。毎年NPS®の目標値を定めて改善に取り組んだ結果、予約サイトの評価が向上し、従業員も自分たちの改善が数字につながった喜びを感じています。

|まとめ


NPS®を改善するために、どのように取り組んでいけばいいのかを詳しく解説してきました。

 ・NPS®とチャーン率は連動しており、NPS®が下がるとチャーンのリスクが高まる
 ・NPS®を改善するにはカスタマーサクセスチームだけではなく、商品やサービスに関わる全チームの協力が必要
 ・アンケートに回答してもらえなければNPS®は機能しないため、顧客に回答をもらえる工夫が大切
 ・まずはターゲットを絞り、批判者を中立者にする取り組みからスモールスタートすると成功しやすい

NPS®は一度測定してそれで終わりではなく、顧客が不満に感じていることを改善し、好感を持っている点をさらに伸ばしてスコアを改善していくことが重要です。商品やサービスをよくするという共通目標を全社で持ち、NPS®を指標として改善に取り組んでいきましょう。

※ネット・プロモーター、ネット・プロモーター・システム、NPS®、そしてNPS®関連で使用されている顔文字は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標またはサービスマークです。

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