「ドリブン」の意味は?カスタマードリブンなどのビジネス用語を解説

「『ドリブン』が付く言葉をよく聞くけれども、どんな意味があるの?」
「カスタマードリブンやデータドリブンなどの違いがわからない」
このようにお悩みではないでしょうか?
ビジネスの現場で、「〇〇ドリブン」という言葉を耳にすることが多くなりました。しかしそもそも「ドリブン」がどのような意味を持ち、どのように使われているのかわからない人も多いようです。
そこで今回は、「ドリブン」の意味と、以下の3つのドリブンについて解説していきます。
・カスタマードリブン
・データドリブン
・プロダクトドリブン
ビジネスにおける「ドリブン」がどのようなものなのか、きちんと理解したいと考えている方は、ご参考にしてください。
|「ドリブン」の意味は?
ドリブンは、英語の「drive」の過去分詞「driven」をカタカナ表記したものです。日本語では「(〜に)突き動かされた」と訳されます。
ビジネスにおける「ドリブン」は、「〜をもとにした」「〜を起点とした」といった意味で用いられ、ほかの単語と組み合わせて「〇〇ドリブン」として多用されています。
|「ドリブン」の経営戦略の種類
ビジネスにおける「ドリブン」は、前に付いている言葉によって、何を中心として経営戦略をおこなうかが表されています。経営戦略として活用される主な「ドリブン」を、3種類紹介します。
■カスタマードリブン
カスタマードリブンとは、マーケティング計画から製品開発まであらゆる業務において顧客体験を優先し、顧客のニーズを経営戦略に活用することを意味します。
カスタマードリブンな企業では、市場調査をおこなったり、定期的な顧客会議などのツールを使用したりすることで、堅実な顧客基盤を築きます。
カスタマードリブンでビジネスをおこなうためには、顧客の期待を理解して、それに迅速かつ思慮深く応えることが重要です。
カスタマードリブンを主とした一般的な戦略は次のとおりです。
①顧客の特徴に合わせたマーケティングに取り組む
ターゲット市場とマッチさせ、顧客のライフサイクルに沿ったサービスを提供するためには、市場の反応を把握するコミュニケーションの手段とスタイルの両方を、深く理解する必要があります。
言い換えれば、どれだけ優れた製品やサービスを有していても、カスタマードリブンなマーケティング戦略をおこなわなければ成功はありえません。まずはターゲットとする顧客層の調査をマーケティングチームに依頼し、どの言語とプラットフォームがもっとも顧客の獲得につながるかを確認しましょう。
そのうえで市場をセグメント化し、各セグメントに対して適切なマーケティング施策を実施します。
②カスタマーサクセスに取り組む
獲得できた顧客は、カスタマーサクセスで能動的にサポートします。顧客の目標を達成するためにさまざまな提案をおこない、サービスを最大限に活用できるよう支援しましょう。
成果がでた顧客はサービスに満足するだけでなく、ロイヤル顧客になる可能性があります。そうすればLTVが向上し、サービスの良い評判にもつながります。
③カスタマーサポートに投資する
新規顧客にロイヤル顧客になってもらうには、問題が発生したときに適切な顧客対応をおこなわなければなりません。そのためには顧客からの問い合わせに対し、リアルタイムで支援できるようなカスタマーサポートを育成する必要があります。
カスタマーサポートへの投資は、顧客との関係を改善し、顧客満足度の向上につながる可能性があるため重要な取り組みです。顧客とのコミュニケーションを円滑に取れる環境を構築することは、顧客からのフィードバックをサービスの改善に活かすとともに、カスタマードリブンなビジネスを構築するためには不可欠です。
④顧客のフィードバックを検討する
顧客がどのようにサービスを利用しているのかについてのデータを収集することは、全体的な戦略を策定し、競争上の優位性を構築するための重要な鍵の1つです。
データの収集には、顧客調査やフォーカスグループ*をおこないます。顧客がサービスの何に満足しているのか、どのように使用しているかを把握して、営業やマーケティング、カスタマーサクセスチームなどに対し、カスタマージャーニーを調整するように指示します。
*フォーカスグループ
少人数の顧客を集め、対象の製品やサービスについて討議してもらうマーケティングリサーチの手法。ビデオ会議形式でおこなうこともある。
⑤ロイヤル顧客を育成する
顧客が自社の製品やサービスを気に入り、大切にしていることが明らかな場合、ロイヤル顧客になってもらえる可能性があります。
顧客をロイヤル顧客に育成する方法の1つは、サービスの継続的な利用とフィードバックに対し、インセンティブを提供することです。「良い顧客」は自社が販売しているものを購入するにとどまりますが、「優れた顧客」は製品やサービスの良い口コミを広げ、友人にすすめてくれると期待できます。
■データドリブン
データドリブンとは、事業をとおして得られるさまざまなデータをもとに、経営戦略を策定したり、意思決定したりすることを意味します。
近年顧客の購買行動が複雑化したことで、従来の勘や経験に基づく企業運営では対応できなくなりました。しかし自社が対象とする市場や顧客のデータを収集して分析すれば、根拠に基づいた費用対効果の高い施策を打てるようになります。
データドリブンを主とした戦略は、以下のように進めます。
①顧客のデータを収集・集積する
データドリブンなビジネス運用にするためには、あらゆる顧客データを収集・集積する必要があります。自社サービスの利用データのほか、マーケティングや営業、カスタマーサポートが記録している顧客データなどを1箇所に収集します。
②データを分析してアクションプランを決定する
集めたデータを分析し、目的に応じたアクションプランを検討します。膨大なデータの分析は、人力でおこなうのは困難です。目的に応じたツールの活用を検討しましょう。またデータ分析に長けた人材の確保や育成も必須です。
③結果をさらに分析し、PDCAを繰り返す
アクションプランを実行したあとにはさらに結果を分析し、PDCAを繰り返します。
■プロダクトドリブン
プロダクトドリブンとは、プロダクトによる価値提供を、経営戦略の中心に置くことを意味します。プロダクトドリブンを主とした戦略は、以下のように進めます。
①開発とUXチームが顧客の声を参考にする
プロダクトで価値を提供するには、開発やUXチームが市場と顧客をよく理解する必要があります。そのため顧客の声を参考にして、開発や事業計画を進めます。
②顧客の複数な課題を1つのサービスで解決する
顧客の声を参考にはするものの、顧客の課題は無限にあります。それらすべてに対応しようとすると、課題が増えるたびにカスタマイズを繰り返すことになり、プロダクトのビジョンが曖昧になってしまいます。そうならないためには、より多くの顧客が抱えている課題だけに絞り、プロダクト開発を進めることが重要です。
③優れた技術を採用する
優れたプロダクトを提供するには、最新の技術が必要です。とくにスケーラブルな事業を目指すのであれば、効率的にプロダクト開発できる体制作りが求められます。
④市場の変化や顧客行動を予測する
プロダクトにより価値提供するのであれば、顧客のニーズにあったプロダクトを提供し続ける必要があります。そのためには、市場調査を定期的に実施するなどして市場の変化に敏感になり、将来的な顧客行動を予測することが重要です。
⑤対応するフィードバックを厳選する
顧客から寄せられるフィードバックすべてに対応すると、機能が多くなりすぎてかえって使いづらくなることは少なくありません。プロダクトを開発したときと同様に、ターゲットとした顧客層だけにフォーカスし、プロダクトのビジョンと一致した希望や提案だけを受け入れ改善しましょう。